震災対応を含め、災害時の対応方法として一般的には、①自助(自分自身で備え、自力で身体を守る)、②共助(助け合い、マンション内共助・フロア内共助)、③公助(行政など公的な対応)の3つがあります。災害時の心構えとしては、自助:7、共助:2、公助:1と言われる通り、最も重要なのは自分自身(家族、身内を含む)の身体は、自力で自らが守るという自助の姿勢であり、そのための『日頃の備え』が必要となります。自らの安全を確保した上での共助があるということ、災害時には行政機関も被災しているため、119番に通報しても直ぐに消防車や救急車が来てくれないことを忘れてはなりません。

まず、自分のマンションに何が起こるかを確認しましょう。

各自治体が公表している被害想定やハザードマップを確認し、居住している地域に起こる可能性のある被害を把握します。河川や海岸部での水害、近くに木造密集地域がある場合の大規模な火災(延焼)、崖の近くではがけ崩れや土石流など立地環境によってその被害の可能性は異なります。
次に、自分のマンションの建物や耐震性について確認しましょう。敷地の地盤の状況や液状化による地盤沈下の可能性などを確認するとともに、マンション内の設備についても管理会社等の協力を得て確認しておくことをお勧めします。例えば、停電になった場合にエレベーター、給水設備、放送設備などはどうなるのかとの観点から確認するのもよいでしょう。

自助 自宅で事前に備えるもの

最低限、これだけは準備しておきましょう。
1.家具の転倒防止、ガラスの飛散防止の対策
2.3日間(できれば7日間)自宅で生活できる物資を用意
3.家族との連絡方法を決める
4.長期間ゴミ・汚物を保管できる容器を用意
5.災害時に援助が必要な場合には、事前に管理組合に届出

マンション防災マニュアルの整備

いざ地震が発生した直後にどう行動するかについて、管理組合としてマニュアルを作成し、居住者に配付の上、周知しましょう。一戸建てとマンションでは、とるべき行動が異なることはもちろんです。また、各行政機関でもHP上に防災マニュアルの手引き(ひな形)が公開されているケースが多くあります。十分に参考とすべきですが、個々のマンションの立地環境や設備の状況は異なりますので、マンションの実情に合ったマニュアルを作ることが重要です。マニュアル作成には、管理会社との連携が最も重要ですが、マンション管理士、防災士など外部の専門家からのアドバイス、支援をもらうことも有効です。是非とも検討ください。

震災を想定した防災訓練の実施

火災訓練と震災訓練ではその対応は大きく異なります。火災の場合は、基本的には一刻も早く非難することが最も重要です。地震の場合には、基本的には部屋に止まり、自らの安全を確保することが最初の行動です。
多くのマンションで年1回程度マンションの防災訓練が実施されていると思いますが、その多くが火災訓練に震災訓練を少し継ぎ足したような内容が多く、震災に特化した訓練にはなっていません。いざという時のために、震災に特化した震災訓練の実施をお勧めいたします。その際には、マンション全体での役割分担と各戸での行動の内容をしっかりと確認しましょう。

以上、震災発生時の対応として足りない点が多々あります。まずは、自らの自宅の備えから確認し、一つひとつ備えていきましょう。