1.民泊の成り立ちと背景

民泊とは、宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊することを言います。2015年の訪日外国人旅行者数は約2,000万人に上り、10年前と比べて約3倍となっています。さらには、国家戦略として東京オリンピックが開催される2020年には4,000万人の倍増目標が掲げられています。そのため、現状でも既存の宿泊施設だけでは外国人旅行者の宿泊に対応できない状況となっており、今後さらに都市部を中心として宿泊施設の不足が顕著となることが予想されます。また、宿泊費用の高騰にともない、少しでも安いところに宿泊したいとする旅行者のニーズが高く、民泊を仲介するAirbnb(世界192か国の宿泊施設、民宿を貸し出す人向けのウェブサイト)などが人気を集めています。

2.我が国の空き室問題

その一方、日本では賃貸住宅や地方における空き室問題が顕著となってきています。現状でも全国で約820万戸が空き室となっているといわれており、今後も増加していくことが確実となっています。訪日外国人旅行者とっては少しでも安く宿泊したいというニーズがあり、さらに異文化や生活体験をより現地の環境に近い形で実体験したいとのニーズがあります。それらのニーズと日本における空き室問題が相まって、民泊の利用が今後もさらに拡大傾向となってくると考えられます。

3.民泊の類型

民泊の類型としては以下の3つが想定されます。

A 家主居住型(いわゆるホームステイ型)

B 家主不在型

C 簡易宿所型

A・Bについては、届出制となりますが、民泊営業が年間で180日以下との縛りがあります。Cの場合には、旅館業法の許可が必要となります。従来の旅館業法に定める営業形態とは別に、新しい営業形態となる「民泊営業」に関して規定する法律(民泊新法)は、2017年の通常国会に提出される予定であり、現在検討会が進められています。