≪電気小売全面自由化の6つの誤解≫
わが国では、1995年以降、電気の小売の自由化が一部進められてきましたが、2011年に発生した東日本大震災は、従来の電力システムが抱える限界と電力事業の構造改革の必要性を改めて明らかにするものでした。この現状を受けて、「電力システムに関する改革方針(平成25年4月2日)」が政府から発表され、平成28年4月1日より実施された電気の小売の全面自由化は、この電力システム改革の目玉ともいうべきものでした。その市場規模は、全国の8000万件以上が対象となり、金額にして7.5~8兆円規模ともいわれています。そのため、既に多くの新規参入企業が生まれ、料金やサービス面での激しい競争が展開されています。
さて、「電気の小売の一般常識」として、よく聞かれる6つの誤解があります。
Q1.業者によっては停電が起こるの?
Q2.新しく電線を引く工事が必要?
Q3.早めに新たな契約をするべき?
Q4.クーリング・オフはできない?
Q5.スマートメーターは有料?
Q6.切り替え手続きって面倒ですよね?
『スマートメーター』等の聞きなれない用語もありますが、答えは全て“NO”です。
電力の受給者(消費者)が安心、かつ、安定して電気を利用し続けることができるよう様々な仕組みが用意されています。
Q1.業者によっては停電が起きるの?
小売電気事業者によって、電気そのものの品質は変わりません。同じ送配電線から供給される電気については、仮に特定の小売電気事業者が供給力不足になった場合には、系統全体で需給バランスを維持するなどの安定供給を確保するシステムが導入されています。
Q2.新しく電線を引く工事が必要?
これまで通り、既存の送電線・配電線を経由して電気が送られますので、新たに電線を引かれることはありません。
Q3.早めに新たな契約をするべき?
切り替えの契約をしない場合でも、これまで通り現在の電力会社から継続して電気が供給されます。皆様のライフスタイルに合ったサービスメニュー(電気料金、付加サービス、電源構成、居住地域)などをしっかりと見極め、契約しても十分に間に合います。現在切り替えを実施した件数は、8000万件の内、わずか10万件強程度です。
Q4.クーリング・オフはできない?
これまでは居住するエリアによって電力会社が決まっていたため、電気利用に際して消費者が“契約”することはありませんでした。今回自由化に際し、初めて契約が必要となります。あまりナーバスになる必要がないですが、契約行為に関しての基礎的な知識は必要なのかもしれません。クーリング・オフは消費者を守る制度の一つです。一旦契約したければ、考え直してみたらもう少し慎重に判断したいなどの場合、8日以内であれば契約の解除ができるものです。適用できないケースや起算日などには決まりがありますので、詳細は確認が必要です。
Q5.スマートメーターは有料?
スマートメーターは、小売電気事業者の切り替えによって機器の設置が必ず必要となります。自由化に伴い新たな機器の購入費用などは掛かりません。工事費も原則無料です。現在の電気メーターがアナログだとしたら、スマートメーターはデジタルです。時間帯別の電力使用状況などを自動で収集するため、これまでの検針作業などがなくなるとともに、消費者ごとのライフスタイルに応じたサービスメニュー(夜型、土日型など)の最適な提案等に活用されます。
Q6.切り替え手続きって面倒ですよね?
小売電気事業者の切替を希望する場合は、切り替えようとする新しい小売電気事業者に申込み、契約するだけでOKです。現在の電力会社には、切り替え先から連絡が行くので、消費者から連絡する必要はありません。ただし、上記の通りスマートメーターの設置が不可欠です。(工事費等負担なし)